新発売の茶扇 宮脇賣扇庵
月の光をモチーフに円環を表した茶扇
この扇子は、元々は数年前京都茶寮という喫茶のお店で半月ほど開催された展示販売のイベントに出展する商品として図案を作ったもで、そこで好評だったため、今回、宮脇賣扇庵にて仕立て、販売が行われることになりました。
茶道と扇子
そもそも茶道の作法の中で相手に敬意を表するため、手前に閉じた扇子を置き、段にみたて結界を作り礼をする動きがあり、扇子は茶道を嗜むために必ず必要となる道具です。
つまり扇子と茶道は切っても切り離せない関係なのですが、開いたり、仰いだりするものではなくあくまで作法の形式として必要な道具というわけです。
開かないし、拘っても仕方がないとも言えますが、茶道とは、一服の中に日本の美意識が詰まった高度な文化の結晶、細部まで美意識を巡らせたい茶人のため、様々な柄のお茶扇が作られています。
箔を使い煌びやかさの裏側と円環を表した茶扇
茶道といえば、侘び茶といわれる言葉があるように、質素な営みの中に喜びや美しさを自ら感じる楽しみかたや、自らの思う快適な空間を演出したり、高価な茶道具を駆使し、相手への敬意を払う楽しませ方があったりとその道は人によって多種多様です。
扇子に関しても様々な見解はありますが、基本的には何を使わなければならないなどの縛りは無く、先生の個人的な拘りが反映されていたりもします。
今回作ったのは月をモチーフに世の円環を箔で表現した扇子です。
溢れる月光を輝きを抑えた金砂子で侘しさを感じる光の表現にし、円形を配することで、世の理りを思わせる、日本らしい手法をとりました。
この扇子を作った催事の時には外が黒、中に白竹を使った骨をつけていましたが、今回宮脇賣扇庵では、その高級感を損なわぬよう焼き煤竹を使い仕立て頂いています。
また、タイトルも以前は月の感じが出ればと下弦という名で出していましたが、どちらかというと上弦の定義にハマる図案であることと、わかりやすい方が良いということで、「月光」という名前に変わりました。
多くの方に届くと良いなと思います。
金彩扇子作家 米原康人 拝