昔の柄を再現する仕事
写経の箔を使った装飾
普段は扇子の装飾ばかりをしているのですが、工芸の横の繋がりから写経の復元版を作る時の縁の金彩加工のお仕事をさせて頂きました。
見本を頂き、サンプルを作らせて貰った時は、まず何で接着するべきか考えました。
古い物なので、おそらく膠で接着してあると考えやってみたところ、かなり近い質感が出たため、ゴーサインが出ました。
ちなみに見本のコピー紙の柄で黒くなっている部分は、銀が経年変化を経て黒く変化したもので、これに寄せるには黒箔を使うことも出来ますが、本来の銀色を出す方が、よりリアルだと思い黒箔は使いませんでした。
これを見ると、時間の経過による、銀という素材の変化のし易さ、不安定さと、金という素材の変わらぬ輝きという違った魅力が、際立ちます。
本場では、下地に膠で溶いた顔料で色がひいてあったので、よりやり易くなっていました。
箔と紙は、金属と紙をひっつける作業なので、紙の質や、接着剤との相性など、気をつける事が結構あります。
とりあえず無事納品できて良かったです。
金彩扇子作家 米原康人 拝