美也古扇 燻 pattern muji #2
説明
【時間の変化を、意匠として受け入れる】
銀の硫化によって生まれる「焼箔」を扇面に用いた京扇子です。
「燻 #2」では、銀が黒へと変化していく途中に現れる色合いを引き出した箔を使用しています。一枚ごとに異なる箔の表情と、焼煤竹の扇骨を合わせた、落ち着いた佇まいの一本です。
普段の装いにも和装にも、日常で涼をとる道具としてお使いいただけます。
【銀の変化から引き出す色】
銀には、硫黄分と反応して色を変え、やがて黒へと近づいていく性質があります。その硫化作用を利用して色を引き出したものが「焼箔」です。
銀が黒くなるまでの間には、赤みや紫、青緑など、さまざまな色合いが現れます。燻では、弱い硫化ガスに丁寧に当てながら、その過程に生まれる表情を見極めています。
強い硫黄分で一気に黒くする方法では得られない、繊細な色の重なり。顔料を塗ってつけた色ではなく、銀そのものの変化から生まれる色合いです。
この扇子には、箔を規則正しく並べて押す「無地押し」を施しました。焼箔そのものが扇面の表情となり、素材の持ち味を素直に感じていただける仕上がりです。
【扇子の工程が育んだ箔押し】
箔押しには、膠を用いる伝統技法を受け継いでいます。
箔を押した紙に折り目をつけ、扇子へと仕立てていく。その後の工程にも適した方法であり、この押し方が、強く照り返すような艶を抑えた、落ち着いた光の仕上がりにもつながっています。
【変わるものと付き合う】
焼箔の魅力は、素材の変化の中から表情を見いだし、意匠として選び取るところにあります。
ものが変わることを受け止め、その中に美しさを見いだす。私は、受け継いできたこの表現に、侘び寂びにも通じる感覚を見ています。
「燻」を通して届けたいのは、箔の色や柄とともに、そこに息づくものや時間との付き合い方です。日々、扇子を開いて使う。その身近な体験から、表現の背景にも触れていただければ幸いです。
【宮脇賣扇庵による仕立て】
仕立ては、京都の老舗・宮脇賣扇庵によるものです。
焼箔を用いた扇面は、折りや附けの工程でも、水分や糊の扱いなどに細かな判断が求められます。扇面加工から仕立てまで、それぞれの専門の職人が仕事をつなぎ、一本の扇子に仕上げています。
【材料・サイズ】
扇面:和紙、焼箔、膠/両面加工
扇骨:焼煤竹
長さ:約22.5cm(7.5寸)
開いたときの最大幅:約40cm
【素材の表情と色の変化について】
一つひとつ手作業で制作しているため、箔の色合いや質感には個体差があります。同じ番号でも、写真とまったく同じ表情にはなりません。また、光の当たり方や見る角度によっても、色合いの印象が変わります。
制作時に硫化させた焼箔を使用していますが、ご使用や保管の環境によって、その後も色が変化する場合があります。変化の程度や速度は一定ではありません。素材の性質としてご理解いただいたうえで、その移ろいも楽しんでいただければ幸いです。
【保管方法】
使わない季節は、扇子を閉じ、付属の輪状の紙「セメ」を付けて箱に保管してください。
箱とセメを残しておくことで、扇子の形を整えて保管しやすくなります。
ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。