concept
「日本のアイデンティティーを表現する扇子」
様々な伝統芸能や神事、祭事と関わり、それらが内包する東洋的美徳の影響を受けてきた京扇子。
日本人が何を美しいと思い、大切にしてきたかを現代の感覚で編集し表現することで生活に少しの豊かさを感じてもらうものづくりを目指します。
Brand history
私が学生時代であった90年代後半から2000年代はグローバリズムの波が日本にも押し寄せ人々の気持ちも元々日本に根付く物や風習を遅れたものと捉える風潮がありました。
そんな空気に違和感を感じ、その対極にある伝統工芸に興味を惹かれ入職する事になりました。
扇子の箔押しという仕事をする様になり伝統産業が生活様式や需要の変化と過度な資本主義によるサプライチェーンの効率化により価格競争に陥り出来上がる物も本来伝えるべき日本人の文化、精神性がおざなりになってくるという悪循環にも直面しました。
そんな中オンラインのインフラが発達し、様々なプラットフォームで個人的に発信する事ができる様になった現代、職人が仕事を通じて引き継いできた技術や精神性、意匠などを今を生きる感覚を通して再編集し現代や先の世代に発信する事も数少なくなった伝統工芸の職人の一つの役割と考える様になりました。
神事、仏事や能、茶道などの芸事。様々な伝統文化と関わりの深い京扇子。
その中で箔押しという加飾部分に携わる事で日本人が大切にして来た精神性や美徳がどの様に表現されて来たのかに触れながら仕事をする中でその部分が意識されて制作されている日常使いの商品が非常に少ないという事実に気付き、日本人のアイデンティティを表現する箔の表現をテーマに商品、作品作りをしております。
現代を生きる日本のファンへ、夏のコーデやギフトに使いやすいシンプルで統一感のあるデザイン。
多様性の時代に伝統的でありながらも、性別、日常、ハレの日、和、洋、ギフト、シーンを問わず使用できる現代のライフスタイルに合わせたファッション性の高いアイテムに仕上げています。
箔を使った表現
「もののあはれ」「幽玄」「侘び寂び」など、日本人が美しいと考え、受け継がれてきた情緒的な表現は、東洋独特の美的感覚です。
私は、日本でアップデートを繰り返し受け継がれてきた美的感覚こそが、この国の創造力の原点であり、伝統工芸が真に未来に伝えていくべきことだと考えています。
扇子の素材感や箔の生み出す表情を通じて、日本人の根っ子のようなものを感じて頂けたら嬉しいです。
京扇子
京都の扇子の特徴は、分業で行われる制作体制です。扇骨、地紙、上絵、箔押し、折、附けとそれぞれ専門の知識、腕を持った職人が連携して制作にあたることで、素材の良さや特徴を最大限に活かし、高品質な工芸品を生み出しています。
また古くから能や茶道などの芸事、神事、祭事、仏事とともに、日本人の美徳や祈りを表現してきた産地としての歴史と圧倒的な国内での扇子生産シェアを持っています。
プロフィール
2009 入職
2015 金彩扇子の制作、販売開始
2018 京都府 京もの認定工芸士 認定
2023 経済産業省 伝統工芸士 認定
2024 京都市 未来の名匠 認定